『行動分析学研究』掲載論文抄録 Vol. 12


人間行動の変動性に及ぼす強化随伴性の効果

駒沢大学  山岸直基

直前の反応と異なる反応を分化強化する手続きが行動の変動性に及ぼす効果を 大学生を対象に調べた。実験1と実駿2において1反応の単位としてそれぞれ 2反応系列と3反応系列を使用した。行動の変動性は、(a) 分化強化するため に参照される直前の反応の数が系統的に変化する分化強化条件と、(b) 分化強 化条件と強化率の等しい、被験者内および被験者間の2つのヨークト条件にお いて比較された。その結果、どちらの実験においても、分化強化条件では、行 動の高い変動性と直前の反応と異なる反応の出現数が高い頻度で確認され、ヨー クト条件では、行動の変動性は低く、直前の反応と異なる反応の出現数も少な かった。また、参照される直前の反応の数が1のときよりもそれ以上のときに、 より大きな変動性が観察された。本実験の結果まり、直前の反応と異なる反応 を分化強化する手続きによって直前の反応と異なる反応の出現数が増加し、そ の結果として、行動の変動性が増加することが示された。

Key words 行動の変動性、分化強化、被験者内ヨークトデザイン、被駿者間 ヨークトデザイン、系列反応、ボタン押し、成人

目次へ戻る

発達障害児における授与動詞の獲得:
高次条件性弁別による文法の形成可能性の検討

明星大学  清水裕文 山本淳一

本研究では4名の発達障害児を対象に、授与動詞や助詞を含む文の獲得に及ぼ す条件の検討をおこなった。まず、高次条件性弁別の枠組みを用いて文法を分 析した。実験Iでは2人の他者が物を受け渡ししている動画を提示し、“わた す" "もらう”といった授与動詞を使用した文の構成を訓練した。文構成のた めに助詞選択条件と動詞選択条件を設定した。その結果、すべての対象児にお いて適切な文構成が成立しなかった。.実験IIでは対象児に実際動作を行って もらい、それに対応する“わたしました”“もらいました”という授与動詞を 含む文を構成する反応の出現を分析した。動詞選択条件、名詞選択条件、助詞 選択条件といった3つの条件性弁別場面を設定した。べ一スラインでは動詞選 択条件の正反応率が高く、他の条件の値はチャンスレベルであった。助詞選択 条件の2つの事例を訓練することで、他の未訓練の文や名詞選択条件の正反応 率も上昇した。実験IIIでは、対象児の実際動作に対応して、“あげました” “くれました”という授与動詞を含む文を構成する反応を分析した。構成のた めに、実験IIと同じ条件性弁別手続きを設定した。その結果、ベースラインで は動詞選択条件の正反応率が高く、他の条件はチャンスレベルであった。助詞 選択条件を訓練することで、名詞選択条件の正反応率も上昇した.本研究の結 果から、自分自身の実際の行為を見本刺激とすることで、少数事例の訓練によっ て、発達障害児が適切な授与動詞や助詞を含む又を表出することが、可能とな ることが示された。また、授与動詞の獲得の困難さは、条件性弁別の階層性の 高さに対応することが示唆された。

Keywords 授与動詞、助詞、文法、条件性弁別、高次条件性弁別、発達障害児

目次へ戻る

「日本行動分析学会」トップページに戻る