『行動分析学研究』掲載論文抄録 Vol. 14


組織行動マネジメントの歴史と現状とこれからの課題

鳴門教育大学 島宗 理

 組織行動マネジメント(Organizational Behavior Management)は応用行動分析学 の一領域であり、組織の問題を効果的かつ効率的に解決する行動的テクノロジーの開 発を目的としている。本論文では、その歴史と現状を簡単に紹介し、最近の研究の動 向などから、これからの課題について論じる。

key word 組織行動マネジメント、パフォーマンス・マネジメント、応用行動分析 学、システム分析

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小規模なソフトウェア開発会社における企画提案思考ツールの開発と遠隔支援

鳴門教育大学 島宗 理
株式会社 サンシステム 磯部 康・上住嘉樹・庄司和雄

 都内のある小規模ソフトウェア開発会社において、営業担当者の企画提案を 支援する“企画提案思考ツール”を開発し、その効果を検討した。企画提案思 考ツールは新聞や雑誌などに掲載された情報処理サービスの記事について以下 の質問に答えていくジョブエイドとして開発した。(1)対象となる顧客は誰 か、(2)顧客のニーズは何か、(3)ニーズを満足させる技術は何か、(4) これまでの技術と異なるところはどこか、(5)どのように販売しているか。 そして、(6)顧客、(7)技術、(8)販売方法のうち、どれか一つを変化さ せて自分なりの提案を作るように要求された。最初に、5 人の営業担当者に対 して企画提案思考ツールを導入し、週間営業ミーティングでの口頭発表が向上 されることを確認した。その後4 か月間、企画提案思考ツールへの適切な記入 行動をファックスと電子メールとを使って遠隔より支援した。さらに別の5名 の社員に対し、最長は1年間以上にわたり、今度はファックスと電子メールの みを使って遠隔より企画提案思考ツールの正確な使用を訓練し、継続的な利用 を促進した。企画提案という複雑な言語行動の自発が比較的簡単なジョブエイ ドで導くことができること、そしてジョブエイドの継続的な利用を遠隔から支 援できることが示された。 Key words 企画提案、思考支援、遠隔支援、ジョブエイド、パフォーマンス・ マネジメント

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単一事例実験データへの統計的検定の適用:ランダマイゼーション検定とC統計

東京大学  山田剛史

 単一事例実験計画は、教育の幅広い領域で利用されている実験計画の手法で ある。そこで得られたデータの分析は主に視覚的判断(visual inspection) によって行われる。しかし、この方法の客観性、評定の信頼性といった問題か ら、単一事例実験データの評価に統計的方法を適用することが提案されるよう になった。その中でも、ランダマイゼーション検定とC統計による処理効果の 検定は、日米で多くの研究者からその利用が推奨されてきた。本研究では、こ の2種類の方法間の比較を検定力という視点から行う。モンテカルロ法による コンピュータシミュレーション実験を行い、2つの方法の検定力を推定した。 SAS/IMLによって1次の自己相関を持つ単一事例実験データ(35個のデータを持 つABデザイン)を生成し、4種類の自己相関、6つの効果量のもとでそれぞれの 方法の検定力を算出した。その結果、ランダマイゼーション検定は検定力が十 分に高いとはいえないが、第1種の誤りの統制は良くできていることがわかっ た。一方、C統計による検定では、正の自己相関のあるデータでは第1種の誤り の統制ができず、逆に、負の自己相関のあるデータでは検定力が低すぎるとい うことがわかった。これより、系列依存性がある単一事例実験データの分析に C統計による検定を用いるのはふさわしくないことがわかった。 Key words 単一事例実験計画、ランダマイゼーション検定、C統計、検定力、 モンテカルロ法、系列依存性

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