動画で学ぶ行動分析学 ― 実験動画2 ― 

日本大学の眞邉先生の研究室で撮影された動画です。ゼブラフィッシュ、セキセイインコなど様々な動物のオペラント条件づけ動画を見ることができます。

ゼブラフィッシュのオペラント条件づけ動画

ゼブラフィッシュ用Feeder開発のプロセスは、http://operant.pya.jp/%e3%82%bc%e3%83%96%e3%83%a9%e3%83%95%e3%82%a3%e3%83%83%e3%82%b7%e3%83%a5%e7%94%a8feeder//に詳しく掲載されています。

FR4スケジュール

ゼブラフィッシュ(体長25mm-35mm、体重250-450mg)が赤色光の点灯されるグラスファイバーの先端付近に接近すると、平行して取り付けられている赤外線反射型グラスファイバーセンサーにより反応として感知されます。この映像は、4回反応が生じると強化されるFR4強化スケジュールの訓練映像です。強化子は殻剥きブラインシュリンプ卵(直径200-250μm)を使用しています。微細な強化子を使用することにより、多数回の訓練試行が可能です。被験体は、一般の熱帯魚ショップや理化学研究所等の研究機関から入手可能です。動画の個体は、一般の熱帯魚ショップから購入した個体。
類似した実験は、以下の論文に掲載されています。
“Manabe, K., Dooling, R.J., & Takaku, S. (2013a). An Automated Device for Appetitive Conditioning in Zebrafish (Danio rerio),Zebrafish, 10(4), 518-523.”
“Manabe, K., Dooling, R.J., & Takaku, S. (2013b). Differential Reinforcement of an Approach Response in Zebrafish (Danio rerio).?Behavioural Processes, 98, 106-111.”

ゼブラフィッシュの純音の検出課題

オペラント条件づけを用いたゼブラフィッシュの音の検出課題の動画です。観察ゲートを通過する(観察反応)と、20秒間の音提示試行(この動画では800Hz)と無音試行のいずれかが開始され、音が提示されている最中に強化コンパートメントに入ると(hit)、餌(殻剥きブラインシュリンプ卵)で自動的に強化されます。もし、無音試行中に入った場合は(false alarm)、その試行は終了しタイムアウトが与えられます。音提示試行中に入らなかった場合(miss)や無音試行に入らなかった場合は(correct reject)、試行は終了します。この動画では、false alarmとmissは生じていません。観察反応を待っている間の再生スピードは8倍に上げてあります。実験の詳しい内容は、下記の論文で報告されています。
"Manabe, K., & Dooling, R. J. (2020). A psychophysical approach to measuring the threshold for acoustic stimulation in zebrafish (Danio rerio). The Journal of the Acoustical Society of America, 147(2), 1059-1065."

セキセイインコのオペラント条件づけ動画

鳴き声の色による刺激性制御1

中央に提示された色と形それぞれに対応した鳴き声を発声すると、強化されます(餌がもらえます)。赤に対しては低い鳴き声、緑に対しては高い鳴き声で反応すると強化されます。
Manabe, K., Kawashima, T. and Staddon J.E.R. (1995). Differential Vocalizations in Budgerigars: Toward an Experimental Analysis of Naming. Journal of the Experimental Analysis of Behavior, 63, 111-126.

鳴き声の色による刺激性制御2

中央に提示された色と形それぞれに対応した鳴き声を発声すると、強化されます(餌がもらえます)。赤に対しては高い鳴き声、緑に対しては低い鳴き声で反応すると強化されます。
Manabe, K., Kawashima, T. and Staddon J.E.R. (1995). Differential Vocalizations in Budgerigars: Toward an Experimental Analysis of Naming. Journal of the Experimental Analysis of Behavior, 63, 111-126.

鳴き声の色と形による刺激性制御

赤とドットには低い鳴き声、緑と十字には高い鳴き声を発声すると餌で強化されます。
Manabe, K., Kawashima, T. and Staddon J.E.R. (1995). Differential Vocalizations in Budgerigars: Toward an Experimental Analysis of Naming. Journal of the Experimental Analysis of Behavior, 63, 111-126.

発声反応をサンプル反応とした形と色の見本合わせ課題

中央に赤が提示された場合は、低い鳴き声、緑の場合は高い鳴き声を発声すると強化されます(餌がもらえます)。また、中央にドットやクロスが提示された場合は、どちらの鳴き方でも両サイドに赤と緑が提示され、ドットの場合は赤を選択し、クロスの場合は緑を選択すると強化されます。このとき、赤と対応づけられたドットに対しては、赤への反応である低い鳴き声が生じ、緑と対応づけられたクロスに対しては、緑への反応である高い鳴き声が生じるかどうか調べてみました。3羽中、2羽でこのような傾向が認められました。

異種感覚間見本合わせ課題(Cross-modal Matching to Sample)

中央に白色の垂直線が提示され、それをつつくと、周波数が上昇するFM音と周波数が低下するFM音のどちらかが提示され、音の提示が終了すると、左右のキィに赤と青の刺激が提示されます。それぞれの音に対応した色をつつくと強化されます(餌がもらえます)。われわれヒトは、リンゴという音声と視覚刺激としての実際のリンゴを対応づけることが出来ますが、セキセイインコも訓練によって任意の音と視覚刺激を対応づけることが可能です。
Manabe, K., Kawashima, T. and Staddon J.E.R. (1993, May). The role of vocal operant and auditory stimuli on stimulus equivalence in Budgerigars. Poster session presented at 19th Annual Meeting in the Association for Behavior Analysis, in Chicago, IL.

色の遅延見本合わせ課題(Delayed Matching to Sample)1

中央の反応キィに赤か緑のどちらかが見本刺激(sample)として提示され、そのキィをつつくと色刺激が消え、10秒後に左右の選択キィに赤と緑の比較刺激(comparison)が左右ランダムに提示されます。見本刺激と同じ色の比較刺激を選択すると、餌で強化されます。この手続きは、10秒遅延見本合わせ課題(10-s delayed matching to sample)と呼びます。この個体は、見本刺激が消された10秒間の遅延時間中に、明示的に訓練されていないにもかかわらず、見本刺激に合わせたユニークな反応を形成しました。見本刺激が赤の時は、後ろ向きあるいは横向きになって鳴き、緑刺激の時は見本刺激が消えた中央の反応キィをつつき続けます。そのため、ほとんど間違わず正解を続けます。このような、見本刺激を符号化する行動を符号化行動(coding behavior)と呼びます。ただし、緑が見本刺激である試行の1試行で、見本刺激に反応し終えた直後に、止まり木を踏み外し、そのため、赤の符号化行動を始めてしまい、不正解になりタイムアウトが与えられています。

色の遅延見本合わせ課題(Delayed Matching to Sample)2

この手続きは、遅延時間が2秒の遅延見本合わせ課題です。この個体は、見本刺激が赤の時は、右側にステップしてつつき、緑の時はステップしないでつつき続けるという符号化行動を形成しています。

色の遅延見本合わせ課題(Delayed Matching to Sample)3

この手続きは、遅延時間が4秒の遅延見本合わせ課題です。この個体は、見本刺激が赤の時は、遅延時間中つつき続け、緑の時は横向きになるという符号化行動を形成しています。

デンショバトのオペラント条件づけ動画

回転反応とつつき反応の並立強化

<1分33秒>

デンショバトが、回転したり、キィをつついたりすると強化されます。回転反応は、背中に取り付けられたピンポンボールの重心をパソコンでリアルタイムに計算することで検出しています。
Manabe, K. (1992a). Real Time Detection of Orientation during Negative Behavioral Contrast with Key-pecking and a Turning Response. Journal of the Experimental Analysis of Behavior, 57, 209-218.

ペンギンのオペラント条件づけ動画

下記の動画の実験の内容は、http://operant.pya.jp/%e3%83%9a%e3%83%b3%e3%82%ae%e3%83%b3%e3%81%ae%e3%83%9a%e3%83%bc%e3%82%b8/に詳しく掲載されています。

実験室への歩行動画(Goemon walk)

ゴエモンは良くなれていて、ショーに参加する仲間がいるところから、エレベータに乗って下の階の実験室に歩いてやってきます。実験室では、体重計に軽くジャンプして飛び乗り、その後、実験箱に自ら入ります。

クリッカー訓練(条件性強化)

黒い四角の提示された側の窓をつつくと、クリッカー音が提示され、1次性強化子のアジが与えられます。1次性強化子(餌)そのものを与える直前に、何らかの刺激(音や視覚刺激)を提示することを繰り返して、1次性強化子そのものを提示しなくても、反応をクリッカー音(2次性強化子)で強化できるようにする訓練。

線分の長さ弁別訓練とプローブテスト(ソラ)

ペンギン(ソラ)がより長い線分をつつくと、.33の確率でクリッカー音と餌で強化されます。それ以外の正反応に対しては2次性強化子であるクリッカー音のみが提示されます。時々、これまで訓練で強化された正刺激(長い線分)と訓練で強化された線分より長い線分の刺激対が提示されるプローブ試行があります。プローブ試行では、どちらに反応してもクリッカー音のみが提示されます。このペンギンは、訓練で正刺激であった長い線分よりより長い線分の選択が有意に多くなる相対的な選択である「移調(transposition)」が見られました。
▼詳しい結果は下記を参照
Manabe, K., Murata, M., Kawashima, T., Asahina, K., and Okutsu, K. (2009). Transposition of line-length discrimination in African penguins (Spheniscus demersus). Japanese Psychological research, 51(3), 115-121.

線分の長さ弁別訓練(ノッポ)

ペンギン(ノッポ)がより短い線分をつつくと、.33の確率でクリッカー音と餌で強化されます。それ以外の正反応に対しては2次性強化子であるクリッカー音のみが提示されます。時々、これまで訓練で強化された正刺激(短い線分)と訓練で強化された線分より短い線分の刺激対が提示されるプローブ試行があります。プローブ試行では、どちらに反応してもクリッカー音のみが提示されます。このペンギンも、訓練で正刺激であった短い線分よりより短い線分の選択が有意に多くなる相対的な選択である「移調(transposition)」が見られました。
▼詳しい結果は下記を参照
Manabe, K., Murata, M., Kawashima, T., Asahina, K., and Okutsu, K. (2009). Transposition of line-length discrimination in African penguins (Spheniscus demersus). Japanese Psychological research, 51(3), 115-121.

トビのオペラント条件づけ動画

下記の動画の実験のもようは、http://operant.pya.jp/%e3%83%88%e3%83%93%e3%81%ae%e3%83%9a%e3%83%bc%e3%82%b8/に詳しく掲載されています。

トビ(Japanese Black Kite)のつつき反応の形成

一般的には、実験者が目で見て動物の反応がターゲットとする反応に近づいたら強化し、さらにより近づいたら強化するということを繰り返して反応を形成します(hand shaping)が、手っ取り早くやるために、トビ用スキナーボックスの左右の窓の裏側に餌を貼り付け、反応を誘発しています。その後、つつくと自動的に強化されるオペラント条件づけに移行しています。

トビの風車の回転速度の弁別訓練

左右の窓の裏側に2本の回転する風車が設置されており、回転数が低い(ちらつきが分かる)方の窓をつつくと強化されます。高速回転と低速回転は、試行毎に左右ランダムに交替します。
▼実験結果は、下記の報告書に記載されています。
環境省 (2014). 鳥類等に関する風力発電施設立地適正化のための手引き 第3章 参考とすべき事項 pp.78-87.
https://www.env.go.jp/nature/yasei/sg_windplant/guide/_91/3rev.pdf
環境省 (2016). 海ワシ類の風力発電施設バードストライク防止策の検討・実施の手引き(平成28年6月)pp.12.
https://www.env.go.jp/nature/yasei/sg_windplant/guide/umiwashi/mat1.pdf

ツグミの明暗弁別訓練

左右どちらかの窓に白色LEDが点灯され、点灯した側の窓をつつくとツグミ用に作成された固形ペレット(餌)で強化された。
▼実験結果は、下記の報告書に記載されています。
環境省 (2014). 鳥類等に関する風力発電施設立地適正化のための手引き 第3章 参考とすべき事項 pp.78-87.
https://www.env.go.jp/nature/yasei/sg_windplant/guide/_91/3rev.pdf

オオワシのオペラント条件づけ動画

オオワシの視力測定実験

左右の窓に縦の縞模様(白黒)と同輝度の一様な灰色が提示され、縞模様の提示されている窓にくちばしを入れると餌(鹿肉)で強化される。間違うとタイムアウトが与えられる。オオワシの翼長は2m前後あるので、実験箱ではなく、プレハブの実験室が用いられています。タイムアウトになるとその間、この個体は装置から離れていなくなります。
▼実験結果は下記で報告されています。
環境省 (2012). 平成24年度海ワシ類における風力発電施設に係るバードストライク防止策検討委託業務報告書
3.3 鳥類の視認性の把握実験 pp. 41-49.
4.5.1 平成 19-21 年度『風力発電施設バードストライク防止策実証業務』における室内実験成果 pp. 33-38.
https://www.env.go.jp/nature/yasei/sg_windplant/birdstrike/rep_h24/02.pdf

ゾウリムシの走性の動画

走性は、特定の刺激に体を方向づける生得的行動です。ゾウリムシは、負の走電性(negative galvanotaxis)、負の走地性(negative geotaxis)、走光性(phototaxis)等の走性(taxis)をもっています。負の走電性はマイナスの電極に集まる走性、負の走地性は地面とは逆の方向(水面)に向かう走性、走光性は光に集まる走性です。この動画では、上部に負の電極を設置し、負の走電性と負の走地性を利用してアクリルのチューブの上部に効率よく集めています。チューブの下部を黒い布などで覆うと、走光性も利用できます。集まってきたゾウリムシをスポイトで吸うことにより、ゼブラフィッシュの稚魚などの飼料としてゾウリムシを効率よく採取することが出来ます。上部に向かって動く白い雲のようなものがゾウリムシの集まりです。